埼玉で起きやすい不動産トラブル3選|空き家・境界・相続問題

埼玉で増える空き家・境界・相続のトラブルを解説

埼玉県では人口構造の変化や郊外の空き家増加を背景に、不動産トラブルが年々増えています。特に「空き家の放置」「境界の不明確さ」「相続手続きの遅れ」は実際の相談件数も多く、対処を誤ると売却や活用が大きく遅れることも。本記事では埼玉で起こりやすい3つのトラブルとその対策を、専門家目線で分かりやすくまとめました。

1. 空き家の放置によるトラブル

▶ 埼玉でも加速する「空き家問題」

埼玉県では、さいたま市や川口市などの都市部とは対照的に、
郊外エリア(熊谷・秩父・鴻巣・行田・久喜など)で空き家が増加 しています。

放置すると以下のような問題が発生します:

  • 景観の悪化・雑草の繁茂
  • 近隣からの苦情
  • 不法投棄・害獣被害
  • 建物の倒壊リスク
  • 固定資産税の軽減特例を受けられず増税
  • 「管理責任」を問われるケースも

▶ 埼玉で特に多いケース

  • 県外の相続人が放置してしまう
  • 親が施設に入り「実家が空き家」状態になる
  • 遠方で管理が行き届かない

▶ 対策

  • 空き家バンク・市町村の支援制度を活用
  • 管理委託(5,000円〜1.5万円/月)を利用
  • 売却や買取、解体して更地化を検討
  • 老朽化が進む前に早期相談することが重要

2. 境界未確定による売却遅延・近隣トラブル

▶ 埼玉は「昔ながらの土地」が多く境界問題が起こりやすい

特に以下のエリアでは境界トラブルが多い傾向があります:

  • 川越・所沢・春日部・加須・行田など
    古い住宅地や農地転用の土地が多く、
    境界杭が失われている・測量が古い などのケースが目立ちます。

▶ よくあるトラブル

  • 隣地との境界が不明で売却が進まない
  • 「うちの敷地に越境している」と指摘される
  • 生垣・ブロック塀の所有判定でもめる
  • 境界立会いで隣人が拒否する

▶ 対策

  • 境界が曖昧な土地は「確定測量」がほぼ必須
  • 早めに土地家屋調査士へ相談(費用:20〜60万円目安)
  • 古い測量図は市役所で閲覧可能
  • 越境がある場合は覚書で解決することも可能

境界問題は解決まで数ヶ月〜半年かかることもあるため、
売却予定があるなら早めの調査が鉄則です。

3. 相続トラブル(名義・遺産分割・管理責任)

▶ 埼玉は「相続空き家」の相談が非常に多い

  • 親の家が埼玉県にあり、子どもが都内・他県在住
  • 相続人が複数で話がまとまらない
  • 名義変更しないまま数年放置してしまう

このようなケースは年々増加しています。

▶ 実際に起きやすい問題

  • 相続登記がないと売却できない
  • 固定資産税の支払いで揉める
  • 遺産分割協議が長期化
  • 相続人が音信不通
  • 老朽化し近隣トラブルに発展

▶ 2024年から相続登記が義務化

相続から3年以内の登記が義務化され、
正当な理由なく放置すると10万円の過料 の対象になります。

▶ 対策

  • 遺産分割協議を早めに進める
  • 相続登記を司法書士へ依頼(6〜15万円が目安)
  • 不動産売却で現金化し、相続トラブルを解消する方法も有効
  • 遠方の相続人がいる場合は「代理権限証書」で対応可能

まとめ:埼玉のトラブルは “早期相談” が最大の対策

埼玉では郊外の空き家増加や古い土地の境界問題、相続の複雑化から、
不動産トラブルが起きやすい環境が整ってしまっています。

しかし——

早期に相談できれば、ほとんどは解決可能な問題です。

  • 空き家の管理と売却
  • 境界の確定測量
  • 相続登記と遺産分割
  • 早期売却・買取の選択肢

専門家に相談することで、時間と費用のロスを最小限にできます。

この記事の監修者

梅本 征吾

株式会社リノバンク
代表取締役
MBA(中央大学 戦略経営研究科)

リクルートにて営業・経営企画・事業開発・新規事業インキュベーションに従事し、複数の事業立ち上げに携わる。その後、株式会社アイスタイルで新規事業開発部部長を務め、FANTAS technology株式会社では空き家事業の立ち上げを担当。

事業譲渡後、株式会社リノバンクを創業し、全国で170件を超える空き家リノベーション・売却支援を行うほか、国土交通省「空き家対策モデル事業」採択企業として行政連携を推進。
また、全国空き家対策コンソーシアムの立上げに参画して地方自治体と連携して地域課題の解決に取り組む。

登壇・掲載実績として、東京大学 不動産イノベーション研究センター、全国住環境整備事業研修会、住宅産業研修財団への登壇や、リフォーム産業新聞・神戸新聞・住宅新報など多数のメディア掲載。


川口市に20年以上在住し、埼玉県南部エリアの不動産事情にも精通。地域特有の課題と市場動向を踏まえた実践的なアドバイスを得意とする。

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