空き家問題が深刻化|全国の相続空き家の現状と対策をわかりやすく解説

全国で増え続ける相続空き家の実態と、所有者が今すぐ取るべき対策とは?

全国の空き家は右肩上がりで増え続け、相続をきっかけに発生する「相続空き家」が大きな社会問題になっています。管理負担や税金、倒壊リスクなど、放置は大きなデメリットにつながります。本記事では、全国の空き家の現状、相続空き家を放置するリスク、活用・売却の選択肢、自治体の支援制度まで、空き家所有者が今すぐ知るべき内容をわかりやすく整理して解説します。

1. 全国で空き家が増え続ける理由

総務省の調査によると、全国の空き家数は約900万戸を超え、過去最多に達しています。
特に増えているのが 相続をきっかけに発生する「相続空き家」 です。

増加の主な理由は以下の通りです:

  • 親の住んでいた家を相続したが、住む予定がない
  • 実家が遠方で管理できない
  • 兄弟間で話がまとまらず放置される
  • 建物が古く、売れない・貸せないと思い込む

結果として、全国の多くの地域で空き家が放置され、地域トラブルにつながっています。

2. 空き家を放置する5つのリスク

相続した空き家を「そのまま」にしておくことは、所有者にとって大きな負担になります。

① 固定資産税などの維持コストがかかり続ける

誰も住んでいなくても税金・光熱費・保険など各種費用が毎年発生します。

② 老朽化が進み倒壊や破損の危険が増える

管理しないと傷みが早く、台風や地震時に周囲へ被害を与える可能性も。

③ 近隣トラブルの原因になる

雑草、ゴミの不法投棄、害獣被害など、地域からの苦情につながります。

④ 特定空家に指定されると税金が6倍に

管理不十分だと自治体から「特定空家」に認定され、固定資産税の優遇が外れます。

⑤ 売却価格が下がりやすくなる

老朽化が進むほど価値が下がり、売却可能な価格も低下します。

3. 全国の自治体が導入している空き家対策制度

空き家問題の深刻化により、全国の自治体がさまざまな支援制度を設けています。

主な例はこちら↓

① 空き家バンク(売却・賃貸のマッチング)

登録すると購入希望者へ広く情報を発信できる。

② 解体費補助金

老朽化した建物の解体費を一部負担してくれる自治体が多い。

③ リフォーム補助制度

空き家の再生や地域移住者向けの改修などに補助が出るケースも。

④ 相続登記の義務化への対応支援

2024年の相続登記義務化により、登記相談窓口を設ける自治体も増加。

制度は自治体によって大きく異なるため、まずは市区町村のサイトを確認しましょう。

4. 相続空き家の主な活用・処分の選択肢

相続空き家は「売る」「貸す」「活用する」「解体する」という大きく4つの方向性があります。

① そのまま売却する(古家付き土地として売る)

建物が古い場合でも「現状のまま」で売れるケースは多い。

メリット:手間が少ない/売却までの速度が早い
デメリット:価格は抑えめになりやすい

② 建物を活かして売る(リフォーム売却)

リフォームで価値を上げてから売却する方法。

メリット:売れる層が広がる/価格が上がる可能性
デメリット:費用がかかる/回収リスクあり

③ 空き家を貸す(賃貸・民泊・事務所利用など)

需要がある地域なら、継続的な収益化も可能。

メリット:継続収入が得られる
デメリット:管理・修繕の手間が発生

④ 解体して更地として売却する

老朽化がひどい場合に有効。土地の用途が広がるため売却しやすい。

メリット:買い手の幅が広がる
デメリット:解体費用がかかる

5. 相続空き家は早めの判断が“得”になる理由

  • 老朽化が進むほど価値が下がる
  • 特定空家に指定されるリスクが高まる
  • 管理費・税金がかかり続ける
  • 売却するにも修繕コストが膨らむ

「いつか売ろう」は最も損をしやすいパターンです。

まとめ:相続空き家は放置せず早めに動けば負担を最小にできる

空き家は放置するほど管理負担・費用・リスクが増え続けます。
一方で、 早めに専門家へ相談し、活用 or 売却の方針を決めれば負担を最小限に抑えられます。

  • まずは現状の確認
  • 必要書類の整理
  • 自治体の制度チェック
  • 売却・活用の方向性を決定

こうしたステップを踏むことで、相続空き家の問題は確実に前進します。

この記事の監修者

梅本 征吾

株式会社リノバンク
代表取締役
MBA(中央大学 戦略経営研究科)

リクルートにて営業・経営企画・事業開発・新規事業インキュベーションに従事し、複数の事業立ち上げに携わる。その後、株式会社アイスタイルで新規事業開発部部長を務め、FANTAS technology株式会社では空き家事業の立ち上げを担当。

事業譲渡後、株式会社リノバンクを創業し、全国で170件を超える空き家リノベーション・売却支援を行うほか、国土交通省「空き家対策モデル事業」採択企業として行政連携を推進。
また、全国空き家対策コンソーシアムの立上げに参画して地方自治体と連携して地域課題の解決に取り組む。

登壇・掲載実績として、東京大学 不動産イノベーション研究センター、全国住環境整備事業研修会、住宅産業研修財団への登壇や、リフォーム産業新聞・神戸新聞・住宅新報など多数のメディア掲載。


川口市に20年以上在住し、埼玉県南部エリアの不動産事情にも精通。地域特有の課題と市場動向を踏まえた実践的なアドバイスを得意とする。

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